椎間板ヘルニアに対する鍼灸治療の可能性
椎間板ヘルニアの痛みやしびれに対し、鍼灸治療を選択肢として考える方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、鍼灸治療のメカニズムや効果、限界について解説します。
鍼灸治療のメカニズム
鍼灸治療は、東洋医学に基づいた治療法です。
身体には「経絡」と呼ばれるエネルギーの通り道があり、その流れが滞ると様々な不調が現れると考えられています。
鍼治療は、経穴(ツボ)と呼ばれる特定の場所に鍼を刺すことで、経絡の詰まりを解消し、気の流れをスムーズにすることを目的としています。
灸治療は、もぐさを燃焼させてツボに熱刺激を与えることで、血行促進や鎮痛効果を促します。
椎間板ヘルニアにおいては、これらの作用により、神経の圧迫による痛みやしびれの緩和、炎症の抑制、筋肉の緊張緩和などが期待されます。
鍼灸治療の効果と限界
鍼灸治療は、痛みやしびれの緩和、炎症の抑制といった効果が期待できる一方、ヘルニアそのものを治すことはできません。
あくまで対症療法として、症状の緩和を目的とした治療法です。
また、効果には個人差があり、すべての方に効果があるとは限りません。
効果 | 詳細 |
疼痛緩和 | 鍼灸刺激が脳内においてエンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌を促進し、痛みの感覚を抑制すると考えられています。 |
血行促進 | 灸治療の温熱効果により、患部の血行が促進され、筋肉の緊張が緩和されます。 |
炎症抑制 | 鍼灸刺激が炎症に関与する物質の産生を抑制し、炎症を鎮静化させる効果が期待できます。 |
神経機能の改善 | 鍼灸刺激により、損傷した神経の修復が促進され、神経機能の回復が期待できます。 |
鍼灸治療は、他の治療法と併用することで、より高い効果が期待できる場合もあります。
椎間板ヘルニアの予防法
椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発のリスクも伴います。
日頃から予防を意識することで、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの発症や再発を防ぐことが重要です。
正しい姿勢と体の使い方
日常生活における姿勢や体の使い方は、椎間板への負担に大きく影響します。
正しい姿勢を維持し、体に負担のかからない動作を心がけることで、椎間板ヘルニアの予防につながります。
①座り姿勢
デスクワークなどで長時間座る際は、背筋を伸ばし、骨盤を立てた姿勢を意識しましょう。
猫背のような姿勢は、椎間板への負担を増大させます。
また、足を組む癖も骨盤の歪みにつながるため、避けましょう。
椅子を選ぶ際には、背もたれに適度な高さがあり、腰を支えられるものがおすすめです。
②立ち姿勢
立つ際は、左右の足に均等に体重をかけ、背筋を伸ばすことを意識しましょう。
片方の足に重心を乗せる癖や、猫背の姿勢は、椎間板への負担を増大させます。
③物を持つ姿勢
重い物を持ち上げる際は、膝を曲げて腰を落とし、背中をまっすぐに保ったまま持ち上げるようにしましょう。
腰を曲げたまま持ち上げると、椎間板に大きな負担がかかります。
また、重い物を持ち上げる際は、できるだけ体に近い位置で持つように心がけましょう。
腕を伸ばした状態で持つと、腰への負担が大きくなります。
姿勢 | 良い姿勢 | 悪い姿勢 |
座り姿勢 | 背筋を伸ばし、骨盤を立てる。足を組まない。 | 猫背、足を組む。 |
立ち姿勢 | 左右の足に均等に体重をかけ、背筋を伸ばす。 | 片方の足に重心を乗せる、猫背。 |
物を持つ姿勢 | 膝を曲げ、背中をまっすぐに保つ。体に近い位置で持つ。 | 腰を曲げて持ち上げる。腕を伸ばして持つ。 |
適度な運動
適度な運動は、腹筋や背筋などの体幹を強化し、椎間板を支える筋肉を鍛えるのに役立ちます。
ウォーキングや水泳など、腰への負担が少ない運動を継続的に行うことがおすすめです。
逆に、激しい運動や急な動作は、椎間板に負担をかける可能性があるため、注意が必要です。
自分の体力に合わせた運動を選び、無理なく続けることが大切です。
椎間板ヘルニアで歩けない時の対処法
椎間板ヘルニアによって歩行が困難になった場合、適切な対処をすることで症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。
痛みや痺れが強い場合は、まずは安静を心掛け、無理に動かないようにしましょう。
自己判断でストレッチやマッサージなどを行うと、症状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
医療機関の指示に従い、適切な治療を受けることが大切です。
安静と休養
歩行が困難なほどの痛みがある場合は、まずは安静にすることが重要です。
安静にすることで、炎症を抑え、痛みを軽減することができます。
具体的には、横になるか、楽な姿勢で座り、患部を動かさないようにしましょう。
痛みが強い時期は、仕事や家事なども控え、十分な休息をとることが大切です。
冷罨法
痛みが強い急性期には、患部に冷罨法を行うことで炎症を抑え、痛みを和らげることができます。
保冷剤や氷嚢をタオルで包み、患部に15~20分程度当てましょう。
ただし、冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があるので、注意が必要です。
冷罨法は、痛みが強い急性期に有効な方法です。
温罨法
痛みが慢性化している場合は、温罨法が効果的です。
温罨法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
蒸しタオルやホットパックを患部に当て、20~30分程度温めましょう。
温罨法を行うことで、血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎます。
ただし、炎症が強い場合は、温罨法を行うと症状が悪化する可能性があるので、避けるようにしましょう。
コルセットの着用
コルセットを着用することで、腰部を安定させ、痛みを軽減することができます。
コルセットは、適切なサイズを選び、正しく着用することが重要です。
締め付けすぎると、血行が悪くなる可能性があるので、注意しましょう。
コルセットは、腰椎をサポートし、安定させる効果があります。
医師や理学療法士に相談し、適切なコルセットを選んでもらいましょう。
日常生活での注意点
椎間板ヘルニアで歩けない時は、日常生活においてもいくつかの注意点があります。
下記の表を参考に、症状悪化を防ぎましょう。
動作 | 注意点 |
座る | 深く座り、背もたれを使う。長時間同じ姿勢を避ける。 |
立つ | 急に立ち上がらず、ゆっくりと動作を行う。 |
歩く | 小股で歩き、滑りにくい靴を履く。 |
物を持ち上げる | 膝を曲げて、腰に負担をかけないように持ち上げる。重い物はできるだけ持たない。 |
寝る | 仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションなどを置く。横向きで寝る場合は、膝を軽く曲げる。 |
これらの対処法を試しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
自己判断で治療を行うことは危険です。
専門家の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。
まとめ
椎間板ヘルニアで歩けなくなる原因は、主に神経根への圧迫と炎症による疼痛、それに伴う筋力低下です。
症状は痛みやしびれ、歩行困難などで、重症の場合は排尿・排便障害も起こりえます。
診断には問診、診察、画像検査などが用いられます。
一般的な治療法には、薬物療法、理学療法、牽引療法などの保存療法と手術療法があります。
鍼灸治療は、疼痛緩和や炎症抑制といった効果が期待できるものの、ヘルニア自体を治すものではなく、あくまで補助的な治療法として捉えるべきです。
椎間板ヘルニアを予防するには、正しい姿勢や適度な運動が重要です。
もし歩行困難などの症状が現れたら、自己判断せず、医療機関に相談しましょう。
お困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
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三郷駅前はりきゅう整骨院でございます。