脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症とは、背骨の中を通る脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで、腰や足に痛みやしびれなどの症状が現れる病気です。
主に加齢に伴う変化が原因で発症し、中高年に多く見られます。
進行すると、歩行が困難になることもあり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
脊柱管は、脳から続く脊髄神経の通り道であり、この脊柱管が狭窄することで、神経が圧迫され、様々な症状を引き起こします。
脊柱管狭窄症の種類
脊柱管狭窄症は、狭窄が起こる部位によって、大きく分けて2つの種類に分類されます。
種類 | 説明 |
腰部脊柱管狭窄症 | 腰の部分の脊柱管が狭窄するもので、脊柱管狭窄症全体の約7割を占めると言われています。腰痛、足のしびれや痛み、間欠性跛行などの症状が現れます。 |
頸部脊柱管狭窄症 | 首の部分の脊柱管が狭窄するもので、手のしびれや痛み、歩行障害などの症状が現れます。 |
脊柱管狭窄症の症状の特徴
脊柱管狭窄症の症状は、神経の圧迫される部位や程度によって様々です。
初期には、腰痛や足のしびれ、痛みなどが現れます。
症状が進行すると、安静にしていても痛みやしびれを感じるようになり、歩行が困難になることもあります。
特徴的な症状として、間欠性跛行があります。
これは、しばらく歩くと足に痛みやしびれが出て歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになるという症状です。
この間欠性跛行は、脊柱管狭窄症の診断において重要な指標となります。
また、排尿・排便障害が現れる場合もあります。
症状が悪化すると、日常生活に支障をきたすようになり、介護が必要になるケースもあります。
脊柱管狭窄症と他の疾患との違い
脊柱管狭窄症は、腰部脊柱管狭窄症の場合、腰椎椎間板ヘルニアと症状が似ているため、鑑別が重要です。
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が飛び出して神経を圧迫する病気です。
脊柱管狭窄症との大きな違いは、前かがみになると痛みが軽減するのが脊柱管狭窄症、逆に痛みが強くなるのが腰椎椎間板ヘルニアという点です。
また、坐骨神経痛も似た症状を示しますが、坐骨神経痛は病名ではなく、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが原因で坐骨神経が圧迫されることで起こる症状の総称です。
正確な診断のためには、医療機関を受診し、MRIなどの画像検査を受けることが必要です。
脊柱管狭窄症で歩けない時の症状
脊柱管狭窄症が進行すると、歩行に支障が出るほどの症状が現れることがあります。
特徴的な症状として、「間欠性跛行」と「安静時のしびれや痛み」が挙げられます。
これらは脊柱管の狭窄によって神経が圧迫されることで引き起こされます。
間欠性跛行とは?
間欠性跛行は、脊柱管狭窄症の代表的な症状です。
しばらく歩くと足やお尻にしびれや痛み、だるさを感じ、歩けなくなってしまいます。
少し休むとまた歩けるようになるのですが、またしばらくすると同じ症状が現れます。
この症状を繰り返すため、「間欠性跛行」と呼ばれています。
自転車に乗る際は前傾姿勢になるため症状が出にくく、立っているよりも楽に感じる方もいらっしゃいます。
症状 | 詳細 |
しびれ | 足先、足の裏、ふくらはぎ、太ももなど、様々な場所に現れます。左右どちらか片方だけにしびれが出る場合もあれば、両方にしびれが出る場合もあります。 |
痛み | 鋭い痛み、鈍い痛み、焼けるような痛みなど、痛みの種類も様々です。 |
だるさ | 足が重だるく感じ、歩くのが困難になります。 |
冷感 | 足が冷たく感じる、感覚が鈍くなるといった症状が現れることもあります。 |
安静時のしびれや痛み
脊柱管狭窄症が進行すると、安静時にもしびれや痛みを感じるようになります。
特に夜間や横になっている時に症状が強くなる傾向があります。
これは、横になると脊柱管がさらに狭くなるためだと考えられています。
これらの症状は、睡眠を妨げるなど日常生活に大きな影響を及ぼします。
症状 | 詳細 |
夜間痛 | 夜になると痛みが増し、睡眠を妨げます。 |
臥床時の痛み | 横になると痛みが増し、仰向けで寝るのが難しくなります。 |
排尿障害 | 頻尿、残尿感、尿失禁などの症状が現れることもあります。ただし、これらの症状は他の疾患でも起こり得るため、医療機関での適切な診断が必要です。 |
排便障害 | 便秘や便失禁などの症状が現れることもあります。こちらも他の疾患でも起こり得るため、医療機関での適切な診断が必要です。 |
これらの症状は、脊柱管狭窄症の進行度によって大きく異なります。
初期段階では間欠性跛行のみの場合もありますが、進行すると安静時にも症状が現れるようになります。
症状が重い場合は、日常生活に大きな支障をきたすため、早めの対処が必要です。
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管狭窄症は、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
大きく分けて加齢による変化、遺伝的要因、その他の要因の3つに分類できます。
加齢による変化
脊柱管狭窄症の最も大きな原因は、加齢に伴う脊柱の変形です。
長年の負担により、椎間板が変形したり、靭帯が肥厚したりすることで、脊柱管が狭くなってしまうのです。
特に、50歳以上の方に多く発症する傾向があります。
具体的には、以下のような変化が起こります。
変化 | 詳細 |
椎間板の変性 | 椎間板の水分が減少して弾力性を失い、薄くなったり、突出したりすることで脊柱管を圧迫します。 |
靭帯の肥厚 | 脊柱を支える靭帯が加齢とともに厚くなり、脊柱管を狭窄させます。特に黄色靭帯の肥厚は、脊柱管狭窄症の主要な原因の一つです。 |
骨棘の形成 | 椎骨の縁に骨の突起(骨棘)が形成され、脊柱管を狭くします。 |
椎間関節の変形 | 椎間関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで、脊柱管が狭くなります。 |
遺伝的要因
脊柱管狭窄症は、遺伝的な要素も影響すると考えられています。
生まれつき脊柱管が狭い方は、加齢による変化が加わることで、より発症しやすくなります。
また、特定の遺伝子多型が脊柱管狭窄症のリスクを高める可能性も示唆されていますが、更なる研究が必要です。
その他の要因
加齢や遺伝以外にも、脊柱管狭窄症の発症に関わる要因があります。
①生活習慣
長時間のデスクワークや、重いものを持ち上げる作業など、脊柱に負担がかかる姿勢や動作を続けることで、脊柱管狭窄症のリスクが高まります。
また、運動不足や肥満も、脊柱への負担を増大させる要因となります。
②外傷
交通事故や転倒などによる脊椎の骨折や脱臼は、脊柱管を狭窄させる直接的な原因となることがあります。
③基礎疾患
糖尿病や関節リウマチなどの基礎疾患は、脊柱管狭窄症の発症リスクを高める可能性があります。
これらの疾患は、血管や神経に影響を与え、脊柱の変性を促進する可能性があるためです。
変形性脊椎症なども脊柱管狭窄症の原因となり得ます。
これらの要因が単独、あるいは複数組み合わさって脊柱管狭窄症を引き起こすと考えられており、その発症メカニズムは複雑です。
自身の生活習慣を見直し、脊柱への負担を軽減することが、脊柱管狭窄症の予防につながります。
脊柱管狭窄症の一般的な治療法
脊柱管狭窄症の治療は、症状の程度や進行度、患者さんの状態に合わせて選択されます。
大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があり、まずは保存療法を試み、効果が不十分な場合に手術療法を検討するのが一般的です。
保存療法
保存療法は、手術を行わずに症状の緩和を目指す治療法です。
主に薬物療法、理学療法、装具療法などがあります。
①薬物療法
痛みやしびれを軽減するために、次のような薬物が用いられます。
薬の種類 | 作用 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | 炎症を抑え、痛みを和らげます。ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなどがあります。 |
神経障害性疼痛治療薬 | 神経の痛みを抑えます。プレガバリンやミロガバリンなどが用いられます。 |
筋弛緩薬 | 筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。エペリゾン塩酸塩やチザニジン塩酸塩などが使用されます。 |
これらの薬は、症状に合わせて単独または併用して使用されます。
副作用にも注意が必要です。
②理学療法
理学療法では、ストレッチや筋力トレーニングなどを通して、脊柱の柔軟性を高め、周囲の筋肉を強化することで、症状の改善を図ります。
具体的には、腰椎の伸展運動やハムストリングスのストレッチなどが有効とされています。
理学療法士の指導のもと、適切な運動を行うことが重要です。
③装具療法
コルセットなどの装具を装着することで、腰椎を安定させ、痛みを軽減します。
腰部固定帯は、腰椎の動きを制限し、負担を軽減する効果があります。
ただし、長時間の使用は筋力の低下につながる可能性があるため、医師の指示に従って使用することが大切です。
手術療法
保存療法で効果が得られない場合や、神経症状が進行している場合には、手術療法が検討されます。
脊柱管狭窄症の手術には、脊柱管拡大術など、様々な種類があります。
脊柱管拡大術は、狭窄した脊柱管を広げることで、神経への圧迫を取り除く手術です。
具体的には、椎弓切除術や椎間板ヘルニア摘出術を併用する場合もあります。
手術方法は、症状や狭窄の部位、程度によって異なります。
手術にはリスクも伴うため、医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で、手術を受けるかどうかを判断することが重要です。
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