若い女性の椎間板ヘルニア、増加の背景
近年、20代、30代の若い女性の間で椎間板ヘルニアが増加傾向にあると言われています。
一体なぜ若い世代で発症するのでしょうか。
その背景には、現代社会のライフスタイルの変化が大きく関わっていると考えられています。
20代、30代で椎間板ヘルニアになるのはなぜ?
若い女性が椎間板ヘルニアになる原因は、加齢による椎間板の老化だけではありません。
むしろ、生活習慣の影響が大きいと考えられています。
①デスクワーク中心の生活
長時間のデスクワークは、同じ姿勢を続けることで腰への負担が大きくなり、椎間板への圧迫を招きます。
特に、姿勢が悪いと負担はさらに増大します。
猫背や足を組む癖は要注意です。
②スマホの使いすぎ
スマホを長時間使用する際は、うつむいた姿勢になりがちです。
この姿勢は、首や腰に大きな負担をかけ、椎間板ヘルニアのリスクを高めます。
電車の中や寝る前など、長時間スマホを使用する際は、姿勢に気を付けることが大切です。
③運動不足
運動不足は、腹筋や背筋などの体幹の筋肉を弱らせます。
体幹の筋肉は、腰を支える重要な役割を担っているため、筋肉が弱くなると腰への負担が増加し、椎間板ヘルニアのリスクが高まるのです。
④間違ったダイエット
過度なダイエットは、骨や筋肉を弱くし、椎間板への負担を増大させる可能性があります。
栄養バランスの取れた食事を摂り、健康的な体重を維持することが大切です。
原因 | 詳細 |
デスクワーク | 長時間同じ姿勢での作業、特に猫背や足を組む姿勢は腰への負担を増大させます。 |
スマホの使いすぎ | うつむいた姿勢での長時間使用は、首や腰に大きな負担をかけます。 |
運動不足 | 体幹の筋肉が弱くなり、腰を支える力が低下し、椎間板への負担が増加します。 |
間違ったダイエット | 栄養不足による骨や筋肉の衰えは、椎間板への負担を増加させます。 |
若い女性に多い椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアは腰痛で知られていますが、実は腰痛以外にも様々な症状が現れることがあります。
特に若い女性の場合、腰痛以外の症状が前面に出て、椎間板ヘルニアだと気づかないケースもあるため注意が必要です。
早期発見・早期治療のためにも、腰痛以外の症状についても知っておくことが大切です。
腰痛だけじゃない?こんな症状にも要注意
椎間板ヘルニアの症状は、ヘルニアが発生した部位や程度によって大きく異なります。
腰痛以外にも、以下のような症状が現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、椎間板ヘルニアの可能性も考慮し、早めに医療機関を受診しましょう。
①坐骨神経痛
坐骨神経痛は、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれ、感覚異常などが現れる症状です。
椎間板ヘルニアによって坐骨神経が圧迫されることで起こります。
痛みは鋭い痛みや電気が走るような痛みと表現されることが多く、くしゃみや咳で悪化することもあります。
また、片側だけに症状が現れることが多いのも特徴です。
症状が進行すると、歩行困難になる場合もあります。
②下肢のしびれ
下肢のしびれも椎間板ヘルニアの代表的な症状の一つです。
坐骨神経痛と同様に、ヘルニアによって神経が圧迫されることで起こります。
足先や足の甲、ふくらはぎ、太ももの裏側など、しびれの範囲は様々です。
軽度のしびれから、感覚が鈍くなるような強いしびれまで、症状の程度も人それぞれです。
また、冷えやむくみを伴う場合もあります。
③排尿障害
椎間板ヘルニアが重症化すると、まれに排尿障害が起こることがあります。
これは、馬尾神経と呼ばれる神経が圧迫されることによって引き起こされます。
尿が出にくい、尿が出ない、残尿感がある、尿漏れなどの症状が現れる場合、早急に医療機関を受診する必要があります。
症状 | 詳細 |
坐骨神経痛 | お尻から足にかけての痛みやしびれ。 |
下肢のしびれ | 足先、足の甲、ふくらはぎなどにしびれ。 |
排尿障害 | 尿が出にくい、尿が出ない、尿漏れなど(重症の場合)。 |
これらの症状は、他の病気でも起こりうるため、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが重要です。
椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアは、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。
加齢による椎間板の変性だけが原因ではなく、生活習慣や身体の使い方なども大きく影響します。
ここでは、若い女性に起こりやすい椎間板ヘルニアの原因について詳しく解説します。
若い女性特有の原因
若い女性の場合、加齢以外の要因が椎間板ヘルニアを引き起こすことが多いです。
特に、下記のような要因に心当たりがある方は注意が必要です。
①妊娠・出産
妊娠中は、お腹が大きくなるにつれて腰への負担が増大します。
また、出産時には骨盤底筋群が緩み、骨盤が不安定になるため、腰椎に負担がかかりやすくなります。
ホルモンバランスの変化も、椎間板への水分供給を減少させ、椎間板の弾力性を低下させる一因となると考えられています。
②ハイヒール
ハイヒールを履くと、重心が前方に移動し、腰椎の湾曲が大きくなるため、腰椎への負担が増加します。
長時間のハイヒール着用は、椎間板ヘルニアのリスクを高める可能性があります。
③冷え性
体が冷えると、血行が悪くなり、筋肉が緊張しやすくなります。
筋肉の緊張は、腰椎への負担を増大させ、椎間板ヘルニアの発症リスクを高めることに繋がります。
冷え性の方は、体を温める対策を心がけましょう。
その他の原因
若い女性特有の要因以外にも、椎間板ヘルニアの原因となる要素は複数存在します。
これらは、年齢や性別に関わらず、誰にでも起こりうるものです。
要因 | 詳細 |
姿勢の悪さ | 猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腰椎に負担をかけ、椎間板ヘルニアのリスクを高めます。デスクワークやスマートフォンの長時間使用などで、姿勢が悪くなりがちです。日頃から正しい姿勢を意識することが大切です。 |
運動不足 | 運動不足は、腹筋や背筋などの体幹の筋肉を弱らせます。体幹の筋肉は、腰椎を支える重要な役割を果たしているため、これらの筋肉が弱まると、腰椎への負担が増加し、椎間板ヘルニアのリスクが高まります。 |
急激な動作や重いものを持ち上げる | 急な動きや重いものを持ち上げる際に、腰に大きな負担がかかります。特に、姿勢が悪い状態で行うと、椎間板への負担がさらに増大し、椎間板ヘルニアを引き起こす可能性があります。 |
遺伝的要因 | 椎間板の形状や強度は、遺伝的な影響を受ける場合もあります。家族に椎間板ヘルニアの方がいる場合、自身も発症するリスクが高まる可能性があります。 |
これらの要因が単独で、あるいは複数組み合わさって椎間板ヘルニアを引き起こします。
自身の生活習慣や身体の状態を把握し、適切な対策を講じることが重要です。
椎間板ヘルニアの一般的な治療法
椎間板ヘルニアの治療法は、症状の程度や経過、患者さんの状態によって様々です。
大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。
保存療法
多くの場合、まずは保存療法が選択されます。保存療法は、手術をせずに痛みやしびれなどの症状を和らげることを目的としています。
主な方法には、薬物療法、理学療法、コルセットの着用などがあります。
①薬物療法
痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤、消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。
症状に合わせて適切な薬が処方されますので、医師の指示に従って服用することが重要です。
②理学療法
腰や背骨周りの筋肉を強化したり、柔軟性を高めるための運動療法や、温熱療法、牽引療法などが行われます。
理学療法士の指導のもと、適切な運動を行うことで、症状の改善や再発予防が期待できます。
③コルセット
コルセットを着用することで、腰椎を安定させ、痛みを軽減する効果があります。
コルセットの種類や装着時間は医師の指示に従うようにしてください。
手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、症状が重症の場合には、手術療法が検討されます。
手術にはいくつかの種類がありますが、どの手術法が適切かは、患者さんの状態やヘルニアの程度によって異なります。
手術の種類 | 概要 |
椎間板ヘルニア摘出術 | 飛び出した椎間板の一部または全部を取り除く手術です。 |
内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術 | 内視鏡を用いて、小さな切開部からヘルニアを摘出する手術です。 |
レーザー椎間板減圧術 | レーザーを用いて椎間板内の圧力を下げ、ヘルニアを縮小させる手術です。 |
人工椎間板置換術 | 損傷した椎間板を人工椎間板に置き換える手術です。 |
手術療法は、痛みやしびれの軽減に効果的ですが、合併症のリスクもあるため、医師とよく相談した上で決定することが重要です。
鍼灸治療が椎間板ヘルニアに効果的な理由
鍼灸治療は、椎間板ヘルニアの痛みやしびれなどの症状を緩和する効果が期待できる、古くからある治療法です。
薬物療法や手術療法とは異なるアプローチで、身体への負担が少ないというメリットもあります。
特に、妊娠中や授乳中などで薬の服用が難しい若い女性にとって、鍼灸治療は選択肢の一つとなるでしょう。
鍼灸治療のメカニズム
鍼灸治療は、東洋医学の考えに基づき、ツボと呼ばれる特定の部位に鍼を刺したり、お灸で温熱刺激を与えたりすることで、身体の機能を調整します。
椎間板ヘルニアに対しては、主に以下のメカニズムで効果を発揮すると考えられています。
①血行促進作用
鍼灸刺激は、患部周辺の血行を促進します。
血行が良くなることで、筋肉や神経への酸素供給が向上し、疲労物質や炎症物質が排出されやすくなります。
これにより、痛みやしびれの軽減が期待できます。
②鎮痛作用
鍼灸刺激は、脳内でエンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌を促すと考えられています。
エンドルフィンは、モルヒネの数倍もの鎮痛効果を持つとされ、自然治癒力を高める効果も期待できます。
③筋肉の緩和作用
椎間板ヘルニアになると、周囲の筋肉が緊張し、痛みを増悪させることがあります。
鍼灸治療は、筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を高める効果があります。
これにより、神経への圧迫が軽減され、症状の改善につながります。
作用 | メカニズム | 効果 |
血行促進作用 | 患部周辺の血流改善 | 酸素供給向上、疲労物質・炎症物質の排出促進 |
鎮痛作用 | エンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌促進 | 痛みの軽減、自然治癒力の向上 |
筋肉の緩和作用 | 筋肉の緊張緩和、柔軟性向上 | 神経への圧迫軽減 |
鍼灸治療は、これらの作用を通して、椎間板ヘルニアの症状を総合的に改善へと導きます。
ただし、効果には個人差があり、すべての症例に効果があるとは限りません。
また、症状によっては他の治療法と併用することが必要となる場合もあります。
椎間板ヘルニアの予防法
椎間板ヘルニアは、一度発症すると日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
日頃から予防を心がけることが大切です。
ここでは、椎間板ヘルニアの予防に効果的な方法をご紹介します。
正しい姿勢を保つ
正しい姿勢を保つことは、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの予防に繋がります。
特にデスクワークやスマートフォンの操作など、長時間同じ姿勢を続ける場合は注意が必要です。
座る際は、背筋を伸ばし、骨盤を立てるように意識しましょう。
猫背にならないように、顎を引いて目線を少し上にすると良いでしょう。
また、長時間同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、軽いストレッチを行うことで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進することができます。
立つ際は、左右の足に均等に体重をかけ、お腹に力を入れるように意識しましょう。
猫背にならないように、胸を張って顎を引くことが大切です。
適度な運動
適度な運動は、腰周りの筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減する効果が期待できます。
ウォーキングや水泳など、腰に負担の少ない運動を継続的に行うことが大切です。
激しい運動は逆効果となる場合があるので、自分の体力に合った運動を選びましょう。
また、運動前に十分なストレッチを行うことも重要です。
ストレッチ
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進することで、椎間板ヘルニアの予防に効果的です。
腰痛体操やヨガなどもおすすめです。
下記に、おすすめのストレッチをいくつかご紹介します。
ストレッチ名 | やり方 | 効果 |
膝抱えストレッチ | 仰向けに寝て、両膝を胸に引き寄せます。 | 腰の筋肉をリラックスさせ、柔軟性を高めます。 |
お尻伸ばしストレッチ | 仰向けに寝て、片方の膝を曲げ、反対側の太ももにかけます。 | お尻の筋肉を伸ばし、腰への負担を軽減します。 |
猫背ストレッチ | 四つん這いになり、背中を丸めたり反らしたりします。 | 背骨の柔軟性を高め、姿勢の改善に役立ちます。 |
これらのストレッチは、無理のない範囲で行い、痛みを感じる場合はすぐに中止してください。
バランスの良い食事
バランスの良い食事を摂ることは、健康な身体を維持するために不可欠であり、椎間板ヘルニアの予防にも繋がります。
特に、骨や筋肉の形成に必要なカルシウム、タンパク質、ビタミンDなどを積極的に摂取するように心がけましょう。
カルシウムは牛乳や小魚、豆腐などに多く含まれています。
タンパク質は肉類、魚介類、卵、大豆製品などに多く含まれています。
ビタミンDは鮭、きのこ類などに多く含まれています。また、適度な日光浴もビタミンDの生成を促します。
まとめ
若い女性に増加している椎間板ヘルニアは、デスクワークやスマホの使いすぎ、運動不足、間違ったダイエットなどが原因として考えられます。
腰痛だけでなく、坐骨神経痛やしびれ、排尿障害といった症状が現れる場合もあります。
妊娠・出産やハイヒール、冷え性なども要因となることがあります。
治療法としては、薬物療法や理学療法などの保存療法、手術療法などがありますが、鍼灸治療は血行促進、鎮痛、筋肉の緩和といった効果から、症状の改善に役立つ可能性があります。
日頃から正しい姿勢を意識し、適度な運動やストレッチ、バランスの良い食事を心がけることで、椎間板ヘルニアの予防に繋がります。
つらい症状でお悩みの方は、当院へご相談ください。

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三郷駅前はりきゅう整骨院でございます。