椎間板ヘルニア好発部位を解説!鍼灸治療の効果とメカニズム

椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板が、何らかの原因で本来の位置から飛び出してしまい、周囲の神経を圧迫することで痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患です。

椎間板の構造と役割

椎間板は、中央にあるゼリー状の髄核と、それを囲む線維輪という組織で構成されています。

髄核は水分を多く含み、弾力性があり、衝撃を吸収する役割を担っています。

線維輪は、髄核を包み込み、椎間板の形を保つ役割を果たしています。

この構造により、椎間板は背骨の柔軟性と安定性を保ち、体をスムーズに動かすことを可能にしています。

構成要素 役割
髄核 衝撃吸収
線維輪 髄核の保持、椎間板の形の維持

椎間板ヘルニアの発生メカニズム

椎間板ヘルニアは、加齢や過度な負担、悪い姿勢などによって線維輪に亀裂が生じ、髄核がその亀裂から飛び出すことで発生します。

飛び出した髄核が近くの神経を圧迫することで、痛みやしびれなどの神経症状が現れます。

また、炎症反応も引き起こし、症状を悪化させる要因となります。

ヘルニアは、日常生活での些細な動作がきっかけで発症することもあります。

椎間板ヘルニアの好発部位

椎間板ヘルニアは、体のどの部位でも発生する可能性がありますが、特に負担のかかりやすい部位に好発します。

主な好発部位は、腰椎、頸椎、胸椎の順です。

それぞれの部位の特徴やヘルニアが発生しやすい理由について詳しく見ていきましょう。

腰椎

椎間板ヘルニアの好発部位として最も多いのは腰椎です。

腰椎は、上半身の重みを支え、体を動かす際に大きな負担がかかるため、椎間板に大きなストレスがかかりやすい部位です。

日常生活での動作や姿勢、スポーツなどによって、さらに負担が増加し、ヘルニアを発症するリスクが高まります。

 

腰椎にヘルニアが多い理由

腰椎にヘルニアが多い理由には、以下の要因が考えられます。

  • 上半身の重みを支える:腰椎は上半身の重みを支えるため、常に大きな負荷がかかっています。
  • 動きが多い:前屈、後屈、側屈、回旋など、腰椎は様々な動きに関与するため、椎間板への負担も大きくなります。
  • 不良姿勢の影響:猫背や反り腰などの不良姿勢は、腰椎への負担をさらに増大させます。
  • 加齢による椎間板の変性:加齢とともに椎間板の水分が失われ、弾力性が低下することで、ヘルニアが発生しやすくなります。

頸椎

腰椎に次いでヘルニアの好発部位として多いのが頸椎です。

頸椎は、頭部を支え、頭を動かす際に重要な役割を果たしています。

デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けたり、スマートフォンやパソコンの使用で下を向く姿勢が続くことで、頸椎に負担がかかり、ヘルニアのリスクが高まります。

 

頸椎ヘルニアの症状の特徴

頸椎ヘルニアの症状は、首や肩の痛みだけでなく、腕や手のしびれ脱力感などが現れることがあります。

これは、頸椎から出ている神経が圧迫されることによって引き起こされます。

また、めまいや頭痛などの症状が現れる場合もあります。

胸椎

胸椎は、肋骨と繋がっているため、腰椎や頸椎に比べて動きが制限されています。

そのため、胸椎にヘルニアが発生することは比較的稀です。

しかし、交通事故などの強い衝撃や、加齢による変性などが原因で発生することもあります。

 

胸椎ヘルニアの稀少性

胸椎ヘルニアは、他の部位のヘルニアに比べて発生頻度が低いことから、診断が難しい場合もあります。

症状も非特異的なことが多く、背中の痛みや胸の痛み、腹部への放散痛など、他の疾患と間違われやすい傾向があります。

そのため、適切な診断と治療を受けることが重要です。

部位 特徴 ヘルニア発生の要因
腰椎 上半身の重みを支える、動きが多い 不良姿勢、重いものを持ち上げる、スポーツなど
頸椎 頭部を支える、細かい動きが多い デスクワーク、スマートフォンの使用、交通事故など
胸椎 肋骨と繋がっているため動きが少ない 強い衝撃、加齢による変性など

それぞれの部位によってヘルニアが発生する原因や症状が異なるため、ご自身の症状に合った適切な治療法を選択することが大切です。

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状は、ヘルニアが発生した部位(腰椎、頸椎、胸椎)によって大きく異なります。

また、ヘルニアの程度や個々の体質によっても症状は様々です。

多くの場合、痛みやしびれといった神経症状が現れますが、神経が圧迫されることで、筋力低下や感覚障害、自律神経症状などを引き起こすこともあります。

腰椎ヘルニアの症状

腰椎ヘルニアの主な症状は、腰痛や下肢痛です。

腰から足にかけて痛みやしびれが走る坐骨神経痛もよく見られます。

咳やくしゃみをした際に痛みが悪化することがあります。

また、下肢の筋力低下や感覚障害、排尿・排便障害などが現れる場合もあります。

症状 詳細
腰痛 鋭い痛みから鈍い痛みまで様々です。
下肢痛 臀部、太もも、ふくらはぎ、足先など、痛みやしびれを感じる部位は人それぞれです。
坐骨神経痛 電気が走るような痛みやしびれが特徴です。
筋力低下 足首が上がりにくくなったり、つま先立ちが難しくなったりします。
感覚障害 足の一部にしびれや感覚の鈍さを感じます。
排尿・排便障害 頻尿、尿失禁、便秘などの症状が現れることがあります。重症例では緊急を要します

頸椎ヘルニアの症状

頸椎ヘルニアの主な症状は、首の痛みや肩こり、腕の痛みやしびれです。

後頭部や背中に痛みを感じることもあります。

また、手の筋力低下や感覚障害、めまいなどが現れる場合もあります。

症状 詳細
首の痛み 動かすと痛みが増強することがあります。
肩こり 慢性的な肩こりに悩まされることがあります。
腕の痛みやしびれ 上腕、前腕、手指など、痛みやしびれを感じる部位は様々です。
筋力低下 握力が弱くなったり、細かい作業が難しくなったりします。
感覚障害 手の指にしびれや感覚の鈍さを感じます。
めまい 回転性のめまいが起こることがあります。

胸椎ヘルニアの症状

胸椎ヘルニアは比較的稀な疾患です。

主な症状は、背中の痛みや胸の痛み、肋間神経痛などです。

帯状疱疹と間違われるケースもあります。

また、下肢の筋力低下や感覚障害、排尿・排便障害などが現れる場合もあります。

症状が進行すると歩行障害が現れることもあります。

症状 詳細
背中の痛み 特定の動作で痛みが増強することがあります。
胸の痛み 締め付けられるような痛みを感じることもあります。
肋間神経痛 胸部に鋭い痛みが走ります。
筋力低下 下肢の筋力が低下し、歩行が困難になることがあります。
感覚障害 下肢の感覚が鈍くなることがあります。
排尿・排便障害 頻尿、尿失禁、便秘などの症状が現れることがあります。重症例では緊急を要します

椎間板ヘルニアの鍼灸治療

椎間板ヘルニアの痛みやしびれでお悩みの方の中には、鍼灸治療に興味を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

鍼灸治療は、東洋医学に基づいた伝統的な治療法であり、椎間板ヘルニアの症状緩和に効果が期待できるとされています。

ここでは、鍼灸治療の効果やメカニズム、治療方法について詳しく解説します。

鍼灸治療の効果

鍼灸治療は、ヘルニアによる痛みやしびれの軽減、神経機能の回復、血行促進、筋肉の緊張緩和といった効果が期待できます。

また、身体の自然治癒力を高める効果もあるため、根本的な改善を目指せる治療法として注目されています。

 

痛み軽減への作用メカニズム

鍼刺激によって、エンドルフィンやエンケファリンなどの鎮痛作用を持つ神経伝達物質が分泌されることで、痛みが軽減されると考えられています。

また、トリガーポイントと呼ばれる筋肉の硬結を鍼で刺激することで、痛みの原因となる筋緊張を緩和する効果も期待できます。

 

神経機能回復への作用メカニズム

鍼灸治療は、血行を促進し、神経への栄養供給を改善することで、損傷した神経の回復を促すと考えられています。

また、鍼刺激が神経の伝達機能を活性化させることで、しびれなどの神経症状の改善にも繋がるとされています。

鍼灸治療の方法

鍼灸治療には、鍼治療と灸治療があります。

症状や体質に合わせて、これらの治療法を単独または組み合わせて行います。

 

鍼治療

鍼治療は、髪の毛ほどの細い鍼をツボに刺入する治療法です。

痛みはほとんど感じません。

鍼の刺激によって、痛みやしびれの緩和、血行促進、神経機能の回復などの効果が期待できます。

使用する鍼は滅菌済みの使い捨てのものを使用するため、衛生面も安心です。

 

灸治療

灸治療は、ヨモギの葉を乾燥させた「もぐさ」を燃焼させて、ツボに温熱刺激を与える治療法です。

もぐさを直接皮膚に置く直接灸と、間接的に温める間接灸があります。

温熱刺激によって、血行促進、筋肉の緊張緩和、免疫力向上などの効果が期待できます。

治療法 方法 期待される効果
鍼治療 細い鍼をツボに刺入 痛みやしびれの緩和、血行促進、神経機能の回復
灸治療 もぐさを燃焼させてツボに温熱刺激 血行促進、筋肉の緊張緩和、免疫力向上

鍼灸治療は、身体への負担が少ない治療法であるため、高齢者や妊娠中の方でも比較的安心して受けることができます。

ただし、感染症や出血性疾患のある方などは治療を受けられない場合もありますので、事前に医師や鍼灸師に相談することが大切です。

また、治療効果には個人差があります。

症状が改善しない場合は、他の治療法も検討する必要があるでしょう。

椎間板ヘルニアの予防法

椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発のリスクも伴います。

日頃から予防を意識することで、ヘルニア発症のリスクを低減し、健康な状態を維持することが大切です。

姿勢

正しい姿勢を保つことは、椎間板への負担を軽減する上で非常に重要です。

猫背や前かがみの姿勢は、椎間板に大きな負担をかけ、ヘルニアのリスクを高めます。

立っている時

耳、肩、腰、くるぶしが一直線になるように意識しましょう。

お腹に軽く力を入れて、背筋を伸ばすことを心がけてください。

 

座っている時

深く椅子に腰掛け、背もたれを利用しましょう。

足を組むのは避け、両足の裏を床につけるようにしてください。

パソコン作業をする際は、モニターの位置を目線と同じ高さかやや下に調整することで、首への負担を軽減できます。

 

寝ている時

仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションなどを敷いて軽く曲げると、腰への負担を軽減できます。

横向きで寝る場合は、抱き枕などを抱え、膝を軽く曲げるのが良いでしょう。

高すぎる枕は頸椎に負担をかけるため、適切な高さの枕を選びましょう。

運動

適度な運動は、背骨周りの筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減する効果があります。

しかし、激しい運動や間違ったフォームでの運動は、逆にヘルニアを悪化させる可能性があるので注意が必要です。

おすすめの運動 効果 注意点
ウォーキング 全身の血行促進、腰背部筋力の強化 正しい姿勢を意識して歩く
水泳 浮力により関節への負担が少ない、全身運動 無理のない範囲で行う
ヨガ、ピラティス 体幹強化、柔軟性向上 無理な姿勢は避ける

日常生活での注意点

日常生活における何気ない動作が、椎間板に負担をかけている場合があります。

日頃から以下の点に注意することで、ヘルニアの予防につながります。

  • 重いものを持ち上げる際は、膝を曲げて腰を落とす
  • 同じ姿勢を長時間続けない
  • 急な動作を避ける
  • 身体を冷やさない
  • 体重管理に気を付ける

これらの予防法を実践することで、椎間板ヘルニアのリスクを軽減し、健康な生活を送る助けとなります。

すでにヘルニアを発症している方は、これらの予防法に加えて、専門家の適切な指導を受けるようにしてください。

まとめ

この記事では、椎間板ヘルニアの好発部位とその理由、症状、鍼灸治療の効果とメカニズム、そして予防法について解説しました。

椎間板ヘルニアは、腰椎、頸椎、胸椎に発生しますが、特に腰椎への発生が多く見られます。

これは、腰椎が身体を支える上で大きな負担がかかるためです。

頸椎ヘルニアは、腕や手のしびれや痛みといった特徴的な症状が現れます。

一方、胸椎ヘルニアは比較的稀な疾患です。鍼灸治療は、痛みを軽減し神経機能の回復を促す効果が期待できます。

これは、ツボへの刺激によって血行が促進され、筋肉の緊張が緩和されるためと考えられています。

日頃から正しい姿勢や適度な運動を心がけ、椎間板ヘルニアを予防しましょう。

何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

三郷駅前はりきゅう整骨院