椎間板ヘルニアによる足のしびれの原因
椎間板ヘルニアによる足のしびれは、主に腰椎に発生した椎間板ヘルニアが原因で起こります。
椎間板ヘルニアとは、背骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板が、加齢や過度な負担などによって変形・突出することで、周囲の神経を圧迫してしまう状態です。
特に腰椎にヘルニアが生じると、坐骨神経が圧迫され、足にしびれや痛みなどの症状が現れます。
椎間板への負担
椎間板への負担は、ヘルニア発生の大きな要因となります。
長時間のデスクワークや運転、重い物を持ち上げる作業、猫背などの悪い姿勢は、椎間板に継続的な圧力をかけ、変形や損傷のリスクを高めます。
また、加齢に伴い椎間板の水分が減少して弾力性が失われることも、負担に弱くなる一因です。
遺伝的要因
椎間板ヘルニアの発症には、遺伝的な要因も関係していると考えられています。家族に椎間板ヘルニアの既往歴がある方は、そうでない方に比べて発症リスクが高い傾向にあります。
これは、椎間板の構造や強度などが遺伝的に影響を受ける可能性があるためです。
遺伝的要因は自身でコントロールすることはできませんが、他の要因を理解し、適切な対策をとることで、ヘルニアの発症リスクを軽減することは可能です。
生活習慣
日常生活における習慣も、椎間板ヘルニアの発症に影響を与えます。
喫煙は、椎間板への血流を阻害し、変性を促進する可能性があります。
また、運動不足は、背骨を支える筋肉を弱体化させ、椎間板への負担を増大させます。
反対に、激しい運動や間違ったフォームでの運動は、椎間板に急激な負荷をかけ、損傷につながる恐れがあります。
バランスの取れた食生活、適度な運動、禁煙などを心がけることで、椎間板ヘルニアの予防につながります。
その他の要因
上記以外にも、以下のような要因が椎間板ヘルニアの発症に関与していると考えられています。
要因 | 説明 |
肥満 | 過剰な体重は椎間板への負担を増大させます。 |
ストレス | ストレスは筋肉の緊張を高め、血行不良を招き、ヘルニアの発症リスクを高める可能性があります。 |
外傷 | 交通事故や転倒などによる強い衝撃が、椎間板ヘルニアの引き金となることがあります。 |
椎間板ヘルニアで足のしびれが出るメカニズム
椎間板ヘルニアによって足のしびれが生じるメカニズムは、大きく分けて神経根の圧迫と炎症の2つの要素が関わっています。
神経根の圧迫
椎間板は、背骨を構成する椎骨と椎骨の間にあるクッションの役割を果たす組織です。
この椎間板の中心部にある髄核が、外側の線維輪を突き破って飛び出すことを椎間板ヘルニアといいます。
飛び出した髄核や、炎症によって腫れ上がった組織が、脊髄から枝分かれして足へと伸びる神経根を圧迫することで、しびれなどの症状が現れます。
神経根は、特定の皮膚領域や筋肉の感覚や運動を支配しています。
そのため、どの神経根が圧迫されるかによって、しびれや痛みが生じる部位が異なります。
腰椎椎間板ヘルニアの場合、主に坐骨神経が影響を受けやすく、お尻から太ももの裏側、ふくらはぎ、足先にかけてしびれや痛み、違和感などが生じることが多いです。
炎症
椎間板ヘルニアが生じると、損傷した組織から炎症を引き起こす物質が放出されます。
この炎症物質が神経根を刺激することで、しびれや痛みが増強されます。
また、炎症によって神経周囲の組織が腫れ上がることで、神経根への圧迫がさらに強まり、症状が悪化することもあります。
要因 | メカニズム | 症状 |
神経根の圧迫 | 飛び出した髄核や炎症による組織の腫れが神経根を圧迫 | しびれ、痛み、感覚異常、筋力低下 |
炎症 | 損傷した組織から炎症物質が放出され、神経根を刺激 | しびれ、痛み、熱感、腫れ |
つまり、椎間板ヘルニアによる足のしびれは、機械的な圧迫と化学的な刺激の両方が複雑に絡み合って起こる現象といえます。
そのため、症状の程度や経過は患者さん一人ひとりで異なり、適切な診断と治療が必要となります。
椎間板ヘルニアによる足のしびれは自然に治る?
椎間板ヘルニアによる足のしびれは、自然に治る場合もあります。
しかし、必ずしも自然治癒するとは限らないことを理解しておく必要があります。
症状の程度や、個々の身体の状態、生活習慣などによって、自然治癒するかどうか、また治癒までの期間は大きく異なります。
自然治癒の可能性
椎間板ヘルニアは、突出していた椎間板が時間の経過とともに縮小したり、体内に吸収されたりすることで、神経への圧迫が軽減し、症状が改善することがあります。
特に、軽度の椎間板ヘルニアの場合、自然治癒する可能性が高いと考えられています。
安静にすることで、炎症が治まり、痛みが軽減することもあります。
自然治癒しない場合
一方で、自然治癒が難しいケースもあります。
神経への圧迫が強い場合や、ヘルニアが大きい場合、長期間にわたって症状が続いている場合は、自然治癒は期待しにくいです。
また、日常生活での姿勢や動作、仕事内容などによって、症状が悪化することもあります。
このような場合は、適切な治療を受けることが重要です。
自然治癒を待つ期間の目安
症状が軽度の場合、数日から数週間で症状が改善することもあります。
しかし、数週間経っても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、医療機関への相談をおすすめします。
自己判断で放置すると、症状が悪化したり、慢性化したりする可能性があります。
症状の程度 | 自然治癒の可能性 | 自然治癒までの期間の目安 |
軽度 | 高い | 数日から数週間 |
中等度 | 場合による | 数週間から数ヶ月 |
重度 | 低い | 自然治癒は難しい場合が多い |
上記の表はあくまでも目安であり、個々の状況によって異なります。
少しでも不安を感じたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
椎間板ヘルニアによる足のしびれの治療法
椎間板ヘルニアによる足のしびれの治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。
症状の程度や経過、患者さんの状態に合わせて適切な治療法が選択されます。
保存療法
多くの場合、まずは保存療法が試みられます。
保存療法は、手術をせずに痛みやしびれなどの症状を軽減することを目的としています。
主な保存療法には、薬物療法、理学療法、牽引療法などがあります。
①薬物療法
痛みやしびれを軽減するために、鎮痛剤、消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。
痛みや炎症を抑えることで、日常生活を楽にする効果が期待できます。
②理学療法
理学療法では、ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、身体の機能改善を目指します。
腰や周辺の筋肉を強化することで、椎間板への負担を軽減し、症状の改善を促します。
温熱療法や牽引療法なども併用されることがあります。
③牽引療法
牽引療法は、機械を用いて腰椎を牽引し、椎間板にかかる圧力を軽減する治療法です。
神経への圧迫を和らげ、痛みやしびれを軽減する効果が期待できます。
手術療法
保存療法で効果が得られない場合や、症状が重度の場合には、手術療法が検討されます。
手術療法には、椎間板ヘルニア摘出術などがあります。
神経の圧迫を取り除くことで、症状の根本的な改善を目指します。
治療法 | 内容 | 効果 |
薬物療法 | 鎮痛剤、消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬などを服用する | 痛みやしびれの軽減 |
理学療法 | ストレッチ、筋力トレーニング、温熱療法、牽引療法などを行う | 身体の機能改善、椎間板への負担軽減 |
牽引療法 | 機械を用いて腰椎を牽引し、椎間板にかかる圧力を軽減する | 神経への圧迫の緩和、痛みやしびれの軽減 |
手術療法 | 椎間板ヘルニア摘出術などを行う | 神経の圧迫を取り除き、症状の根本的な改善 |
どの治療法を選択するかは、患者さんの症状や状態によって異なります。
医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。
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