椎間板ヘルニアとは?
椎間板ヘルニアは、背骨の構成要素である椎間板に生じる疾患です。
腰や首に発症することが多く、痛みやしびれなどの症状を引き起こします。
加齢や激しい運動、長時間のデスクワークなど、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
椎間板の構造と役割
椎間板は、背骨を構成する椎骨と椎骨の間に位置する組織です。
弾力性に富んだ髄核と呼ばれるゼリー状の中心部分と、それを取り囲む線維輪と呼ばれる硬い組織からできています。
この構造によって、椎間板はクッションのような役割を果たし、体重を支えたり、体の動きをスムーズにしたりしています。
また、脊髄神経を保護する役割も担っています。
構成要素 | 役割 |
髄核 | ゼリー状の弾力性のある物質で、クッションの役割を果たします。 |
線維輪 | 髄核を包む硬い線維で、髄核を支え、安定させます。 |
椎間板ヘルニアの発生メカニズム
椎間板ヘルニアは、線維輪に亀裂が生じ、髄核が飛び出すことで発生します。
この飛び出した髄核が神経を圧迫することで、痛みやしびれなどの症状が現れます。
ヘルニアは、腰椎に最も多く発生し、次いで頸椎に多く発生します。
胸椎への発生は比較的まれです。
また、加齢とともに椎間板の水分が減少して弾力性が失われることで、線維輪が損傷しやすくなり、ヘルニアのリスクが高まります。
その他にも、激しい運動や長時間のデスクワーク、不良姿勢、肥満などもヘルニアの発生に関与すると考えられています。
椎間板ヘルニアによる足のしびれの原因
椎間板ヘルニアによって足にしびれが生じる主な原因は、神経根への圧迫、炎症による刺激、血行不良の3つです。
これらが複雑に絡み合い、症状の程度や範囲を決定づけます。
神経根への圧迫
椎間板ヘルニアは、椎間板の中にある髄核というゼリー状の物質が、線維輪という外側の組織を突き破って飛び出すことで発生します。
この飛び出した髄核が、脊髄から枝分かれして足へと伸びる神経根を圧迫することで、しびれが生じます。
圧迫される神経根の位置によって、しびれの範囲や程度が異なります。
圧迫される神経根 | しびれの範囲 |
L4 | 太ももの前側、すねの外側、足の甲 |
L5 | 太ももの外側、すねの前側、足の甲、親指 |
S1 | 太ももの後ろ側、ふくらはぎ、足の裏、小指 |
どの神経根が圧迫されているかを把握することは、適切な治療を行う上で重要です。
炎症による刺激
飛び出した髄核は、周囲の組織に炎症を引き起こします。
この炎症によって発生する炎症性物質が神経根を刺激し、しびれや痛みを増強させます。
炎症が強いほど、しびれも強く感じられる傾向があります。
血行不良
椎間板ヘルニアによる神経根への圧迫や炎症は、周辺の血管を圧迫し、血行不良を引き起こす可能性があります。
血行不良は、神経の働きを阻害し、しびれを悪化させる要因となります。
また、血行不良は、筋肉の緊張を高め、さらなる神経への圧迫につながる悪循環を生み出す可能性も懸念されます。
血行不良は、しびれだけでなく、冷えやむくみなどの症状も引き起こすことがあります。
椎間板ヘルニアによる足のしびれの症状
椎間板ヘルニアによる足のしびれは、その程度や範囲、付随する症状などが人によって大きく異なります。
日常生活にも様々な影響を及ぼす可能性がありますので、ご自身の症状を正しく理解することが大切です。
しびれの範囲と程度
しびれは、ヘルニアが発生した部位や神経の圧迫具合によって異なります。
軽いものでは、足の一部がピリピリする程度ですが、重症化すると、足全体がしびれたり、感覚が鈍くなったりします。
また、片足だけにしびれが出る場合もあれば、両足にしびれが出る場合もあります。
しびれの程度 | 症状 |
軽度 | ピリピリとした感覚、違和感 |
中等度 | 感覚の鈍麻、力が入りにくい |
重度 | 激しい痛み、麻痺 |
痛みを伴う場合
足のしびれに加えて、痛みを伴う場合も少なくありません。
鋭い痛みや鈍い痛み、電気が走るような痛みなど、痛みの種類も様々です。
痛みの程度も、少し痛い程度から、歩くのも困難なほどの激しい痛みまで様々です。
しびれと痛みが同時に出現する場合や、しびれが先行して後に痛みが現れる場合など、症状の出方にも個人差があります。
日常生活への影響
椎間板ヘルニアによる足のしびれは、日常生活にも大きな影響を及ぼします。
長時間の歩行や立位が困難になるだけでなく、座っている姿勢も辛く感じることがあります。
また、靴下や靴を履く、階段の上り下りなど、普段何気なく行っている動作にも支障が出る場合があります。
症状が進行すると、排尿・排便障害が起こる場合もありますので、注意が必要です。
椎間板ヘルニアによる足のしびれの一般的な治療法
椎間板ヘルニアによる足のしびれは、その程度や症状、患者の状態によって適切な治療法が選択されます。
大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。
保存療法
多くの場合、まずは保存療法が選択されます。
保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。
痛みやしびれを軽減し、日常生活への支障を少なくすることを目的としています。
①薬物療法
痛みやしびれを軽減するために、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。
これらの薬は、痛みや炎症を抑えることで症状の緩和を図ります。
②理学療法
理学療法では、ストレッチ、筋力トレーニング、温熱療法、電気刺激療法などを行い、患部の周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、症状の改善を目指します。
腰椎の安定性を高めるための体幹トレーニングも重要です。
理学療法士の指導のもと、適切な運動プログラムを実施することが大切です。
③牽引療法
牽引療法は、機械を用いて腰椎を牽引し、椎間板にかかる圧力を軽減する治療法です。
牽引によって神経根への圧迫が軽減され、痛みやしびれの緩和が期待できます。 しかし、すべての人に有効なわけではなく、症状によっては悪化させる可能性もあるため、医師の指示のもとで行う必要があります。
手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、症状が重症の場合、手術療法が検討されます。
手術療法にはいくつかの種類がありますが、主なものは以下の通りです。
手術の種類 | 概要 |
ラブ法(椎間板摘出術) | ヘルニアを起こした椎間板の一部または全部を切除する手術です。 顕微鏡を用いて行う場合もあります。 |
内視鏡下椎間板摘出術 | 内視鏡を用いて、皮膚を小さく切開し、ヘルニアを起こした椎間板を切除する手術です。 傷が小さく、体への負担が少ないのが特徴です。 |
経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD) | レーザーを用いて椎間板内の水分を蒸発させ、椎間板の容積を減らすことで神経への圧迫を軽減する手術です。 |
手術療法は、痛みやしびれを根本的に改善する可能性が高い一方、体への負担が大きいため、慎重に検討する必要があります。
医師とよく相談し、自身の症状や状態に合った治療法を選択することが重要です。
↓↓後編はこちらから↓↓

お電話ありがとうございます、
三郷駅前はりきゅう整骨院でございます。