腰痛とすべり症の意外な関係|鍼灸で根本原因にアプローチ!~前編~

腰痛とすべり症、その関係性とは?

腰痛は多くの人が経験するありふれた症状ですが、その原因は実に様々です。

その中でも「すべり症」は、腰痛の大きな原因の一つとして知られています。

しかし、すべての腰痛がすべり症から引き起こされるわけではありません。

すべり症と腰痛には、複雑な関係性があるのです。

すべり症とは何か?

すべり症とは、背骨を構成する椎骨の一つが、本来あるべき位置からずれてしまう状態を指します。

特に腰椎に起こりやすく、腰椎すべり症と呼ばれます。

加齢による椎間板や靭帯の変性、激しいスポーツや外傷などが原因で起こることがあります。

また、生まれつき椎骨の一部が分離している分離すべり症の方もいます。

すべり症が腰痛を引き起こすメカニズム

すべり症になると、ずれた椎骨が周囲の神経や筋肉を圧迫したり、炎症を起こしたりすることで腰痛が生じます。

神経が圧迫されると、腰だけでなく、お尻や太もも、足先などに痛みやしびれが走る坐骨神経痛の症状が現れることもあります。

また、炎症が起きると、腰の筋肉が緊張し、痛みが強くなることがあります。

さらに、身体は不安定になった状態を補正しようと、他の筋肉にも負担がかかり、腰痛が悪化することもあります。

すべての腰痛がすべり症からくるわけではない

腰痛は、すべり症以外にも様々な原因で引き起こされます。

代表的なものとしては、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、姿勢不良、筋力低下、日常生活での動作のクセなどが挙げられます。

これらの原因が単独で、あるいは複数組み合わさって腰痛を引き起こすこともあります。

したがって、腰痛を感じたからといってすぐにすべり症だと決めつけることはできません。

腰痛の原因を特定するためには、医療機関で適切な検査を受けることが重要です。

原因 概要 症状の特徴
すべり症 椎骨が本来の位置からずれる 腰痛、坐骨神経痛、前かがみや中腰で痛みが悪化
椎間板ヘルニア 椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫する 腰痛、坐骨神経痛、下肢のしびれや脱力
脊柱管狭窄症 神経の通り道が狭くなる 間欠性跛行、腰痛、下肢のしびれ
姿勢不良や筋力低下 身体のバランスが崩れ、腰に負担がかかる 慢性的な腰痛、肩こり、首こり
日常生活での動作のクセ 特定の動作を繰り返すことで腰に負担がかかる 特定の動作で痛みが悪化

このように、腰痛とすべり症は密接な関係がありますが、必ずしもイコールではありません。

腰痛の原因を正しく理解し、適切な対処をすることが大切です。

次の章では、すべり症以外の腰痛の原因について詳しく解説していきます。

腰痛を引き起こすすべり症以外の原因

腰痛は、現代社会において多くの人が悩まされる症状の一つです。

その原因は様々ですが、必ずしもすべり症だけが原因ではありません。

腰痛を引き起こす可能性のある、すべり症以外の代表的な原因について詳しく見ていきましょう。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板というクッションの役割を果たす組織の一部が飛び出し、神経を圧迫することで腰痛や下肢のしびれ、痛みを引き起こす疾患です。

特に重いものを持ち上げた時や、くしゃみをした時などに強い痛みを感じることが特徴です。

 

椎間板ヘルニアの種類と症状

種類 症状
髄核脱出型 激しい痛みやしびれ
線維輪膨隆型 鈍い痛みや違和感
シュモール結節 初期は無症状、進行すると痛みやしびれ

 

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫され、腰痛や下肢のしびれ、痛みを引き起こす疾患です。

間欠性跛行と呼ばれる、歩行時に痛みやしびれが出現し、少し休むと軽減するという特徴的な症状が現れます。

前かがみになると脊柱管が広がるため、症状が一時的に楽になることが多いです。

姿勢不良や筋力低下

デスクワークやスマートフォンの長時間使用など、日常生活での姿勢の悪さは、腰周りの筋肉に負担をかけ、腰痛を引き起こす原因となります。

また、腹筋や背筋などの体幹の筋力が低下していると、腰への負担が増大し、腰痛が生じやすくなります。

特に、長時間の座位姿勢は腰への負担が大きいため、注意が必要です。

 

・姿勢不良と筋力低下の関連性

姿勢不良は、特定の筋肉に過剰な負担をかけ、他の筋肉を弱化させるという悪循環を生み出します。

例えば、猫背は背中の筋肉を伸ばし、腹筋を弱化させ、結果として腰への負担を増大させます。

適切な姿勢を維持するための筋力トレーニングは、腰痛予防に非常に重要です。

日常生活での動作のクセ

重いものを持ち上げる際、腰を曲げて持ち上げる、足を組む、片足に重心をかけて立つなどの動作のクセは、腰に負担をかけ、腰痛の原因となることがあります。

また、高いヒールを履くことも、姿勢が悪くなり、腰痛を引き起こす要因となります。

日常生活での何気ない動作が腰痛につながることを意識し、改善していくことが大切です。

  • 日常生活動作の改善ポイント

・重いものを持ち上げる際は、膝を曲げて腰を落とす。

・足を組む癖を避け、両足を地面につける。

・片足に重心をかけるのではなく、均等に体重をかける。

・ヒールの高さに注意し、長時間履く場合は適度に休憩を入れる。

すべり症による腰痛の症状の特徴

すべり症による腰痛は、他の原因による腰痛と比べて特徴的な症状が見られることがあります。

これらの症状を理解することで、早期に適切な対処をすることが可能です。

安静にしていても痛む

すべり症による腰痛は、安静時にも痛みを感じることがあります。

これは、ずれた椎骨が神経を圧迫し続けるためです。特に、夜間や朝方に痛みが強くなる傾向があります。

前かがみや中腰で痛みが悪化する

前かがみになったり、中腰の姿勢になると、腰椎への負担が増加し、すべり症による痛みが悪化することがあります。

日常生活動作でこれらの姿勢を避けられない場合は、コルセットなどで腰部をサポートすることも有効です。

  • 前かがみの動作の例

・顔を洗う

・靴下を履く

・床に落ちたものを拾う

  • 中腰の動作の例

・洗濯物を干す

・掃除機をかける

・料理をする

長時間の座位や立位で痛む

同じ姿勢を長時間続けることで、腰への負担が増大し、すべり症の痛みが増強する可能性があります。

長時間の座位立位は避け、こまめに姿勢を変える、軽いストレッチを行うなどの工夫が必要です。

デスクワークや立ち仕事が多い方は特に注意が必要です。

姿勢 痛みの原因 対策
座位 猫背になりやすく、腰椎への負担が増加 正しい姿勢を保つ、座布団を使う、1時間に1回は立ち上がる
立位 腰椎の前弯が強まり、椎間板への圧力が増加 片足を少し前に出して立つ、適度な休憩を取る

下肢のしびれや痛み

すべり症によって神経が圧迫されると、下肢のしびれ痛みが出現することがあります。

臀部から太ももふくらはぎ足先にかけて、電気のような痛みやしびれ、感覚の鈍麻などが生じることもあります。

これらの症状は、坐骨神経痛と呼ばれることもあります。

症状が進行すると、排尿・排便障害が起こる場合もありますので、注意が必要です。

左右どちらか一方、または両方に症状が現れる可能性があり、程度も様々です。

これらの症状は、すべり症の程度や神経の圧迫の程度によって大きく異なります。

軽度の場合は、腰の違和感や軽い痛み程度ですが、重症になると、歩行困難になることもあります。

また、これらの症状は、他の疾患でも見られることがあるため、自己判断せずに、専門家に相談することが重要です。

鍼灸がすべり症による腰痛に効果的な理由

慢性的な腰痛を抱え、日常生活に支障をきたしている方は少なくありません。

その原因の一つとして考えられるのが「すべり症」です。すべり症による腰痛に対して、鍼灸治療がどのようにアプローチし、効果を発揮するのか、詳しく解説していきます。

筋肉の緊張緩和と血行促進効果

すべり症になると、腰椎の不安定性を補うために周囲の筋肉が過剰に緊張します。

この持続的な緊張が血行不良を招き、腰痛を悪化させるのです。

鍼灸治療は、トリガーポイントと呼ばれる筋肉の硬結部位に鍼を刺すことで、筋肉の緊張を緩和し、血行を促進します。

血行が改善されると、筋肉や神経への栄養供給がスムーズになり、痛みの緩和につながります。

自律神経の調整作用

慢性的な痛みは、自律神経のバランスを崩す原因となります。

自律神経は、体の機能を正常に保つために重要な役割を果たしており、バランスが崩れると、痛みを感じやすくなったり、不眠や倦怠感などの症状が現れることがあります。

鍼灸治療は、自律神経の調整作用も持ち、心身のリラックスをもたらします。

リラックスすることで、痛みへの過敏さが軽減され、より快適な生活を送れるようになります。

・副交感神経の活性化

鍼灸治療は、副交感神経の働きを活性化させることが知られています。

副交感神経が優位になると、心拍数が落ち着き、血管が拡張し、筋肉の緊張が緩和されます。

これにより、血流が改善し、痛みや炎症が軽減される効果が期待できるのです。

 

・交感神経の抑制

ストレスや緊張状態が続くと、交感神経が優位になり、筋肉が緊張しやすくなります。

鍼灸治療は、過剰に興奮した交感神経を抑制し、心身をリラックスさせる効果があるため、すべり症による腰痛の緩和に役立ちます。

痛みの軽減効果

鍼灸治療は、エンドルフィンやセロトニンといった神経伝達物質の分泌を促進することで、鎮痛効果を発揮します。

エンドルフィンは、モルヒネの数倍もの鎮痛作用を持つ脳内物質であり、「脳内麻薬」とも呼ばれています。

セロトニンは、精神を安定させる効果があり、痛みの知覚を抑制する働きも持っています。

これらの物質の分泌が促進されることで、自然治癒力が高まり、痛みが軽減していくのです。

鍼灸治療による根本原因へのアプローチ

他の治療法では、痛みを抑える対症療法が中心となる場合も多いですが、鍼灸治療は、痛みの根本原因にアプローチできる点が大きなメリットです。

単に痛みを一時的に抑えるだけでなく、身体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、再発の予防にもつながります。

以下に、鍼灸治療がすべり症の根本原因にどのようにアプローチするのか、具体的なメカニズムをまとめました。

アプローチ メカニズム 効果
血行促進 鍼刺激により血管が拡張 筋肉や神経への栄養供給改善、老廃物排出促進
筋肉の緊張緩和 トリガーポイントへの刺激で筋肉の硬結を解消 腰椎への負担軽減、可動域改善
神経機能の調整 自律神経のバランス調整、痛み信号伝達抑制 痛みの軽減、リラックス効果
免疫力向上 白血球の活性化 自己治癒力の向上、炎症抑制

このように、鍼灸治療は多角的に身体に作用し、すべり症による腰痛の根本的な改善を促します。

身体に負担の少ない治療法であるため、高齢者や持病のある方でも安心して受けることができます。

鍼灸院でのすべり症の腰痛治療の流れ

いよいよ鍼灸院での治療、どんなことをするのか不安に思っている方もいるかもしれません。

ここでは、一般的な鍼灸院でのすべり症による腰痛治療の流れを、問診から施術後まで丁寧に解説します。

問診と検査

まずは、あなたの腰痛について詳しくお聞きします。

いつから痛み始めたのか、どんな時に痛むのか、痛みの程度はどのくらいかなど、些細なことでも構いませんので、お話しください。

  • 現在の症状の確認

現在の腰痛の状況を詳しく把握するために、様々な質問をさせていただきます。例えば、

・痛みの程度(軽い、鈍い、鋭い、激しいなど)

・痛みの場所(腰の中心、左右どちらか、お尻、太ももなど)

・痛みを感じるときの体勢(立っている時、座っている時、寝ている時、前かがみになった時など)

・痛みの持続時間(常に痛い、時々痛いなど)

・他に症状があるか(しびれ、冷え、だるさなど)

などをお聞きします。些細なことでもお気軽にお伝えください。

  • 既往歴や生活習慣の確認

腰痛の背景にある原因を探るため、過去の病歴や普段の生活習慣についても伺います。例えば、

・過去のケガや病気

・仕事内容や普段の姿勢

・睡眠時間や質

・運動習慣

・食生活

など、生活習慣全般についてお伺いすることがあります。

  • 身体検査

問診に加えて、身体検査も行います。

腰の可動域や筋肉の状態、圧痛の有無などを確認し、すべり症による腰痛の特徴が出ているか、他の原因が考えられるかなどを総合的に判断します。

触診では、腰だけでなく、周辺の筋肉の状態も確認します。

施術

問診と検査の結果を踏まえ、あなたに最適な施術を行います。

  • 鍼治療

腰やその周辺のツボに鍼を刺入することで、筋肉の緊張を緩和し、血行を促進します。

痛みや炎症を抑える効果も期待できます。

使用する鍼は使い捨ての極細の鍼ですので、痛みはほとんど感じません。

  • 灸治療

患部に温熱刺激を与えることで、血行を促進し、痛みを和らげる効果が期待できます。

お灸の種類もいくつかあり、症状に合わせて使い分けます。

施術内容 効果 特徴
鍼治療 筋肉の緊張緩和、血行促進、痛み軽減 極細の使い捨て鍼を使用するため、痛みはほとんどありません。
灸治療 血行促進、痛み軽減、温熱効果 症状に合わせて、お灸の種類を使い分けます。

施術後のケアと日常生活のアドバイス

施術後は、日常生活での注意点や自宅でできるストレッチ、体操など、具体的なアドバイスを行います。

施術の効果を持続させるためにも、ご自身の生活習慣を見直す良い機会となります。

  • 施術後の反応

施術後には、一時的にだるさや眠気を感じることがあります。

これは、身体がリラックスしている証拠です。十分な休息をとるようにしましょう。

また、まれに施術部位に赤みやかゆみが出ることがありますが、通常は数日で治まります。

  • 日常生活のアドバイス

すべり症の再発予防や症状悪化を防ぐためには、日常生活での注意点を守ることが大切です。

正しい姿勢を保つ、重いものを持ち上げるときは腰に負担をかけない、適度な運動をするなど、具体的なアドバイスをさせていただきます。

また、睡眠の質を高めることも重要です。

質の良い睡眠は、身体の回復力を高めます。

鍼灸治療は、すべり症による腰痛の根本原因にアプローチする有効な手段の一つです。

安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な説明と施術を心がけています。

気になることや不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。

 

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腰痛とすべり症の意外な関係|鍼灸で根本原因にアプローチ!~後編~

執筆者

三郷駅前はりきゅう整骨院